コレクション

当館の蔵書構成は各学科の専門分野である経済、経営、教育、情報科学を中心に資料の充実を図っています。
なお、貴重書の一部につきましては利用上の制限がありますのであらかじめご了承ください。

 

主なコレクション

スコットランド啓蒙関係(320冊)

スコットランド啓蒙主義を形づくった18世紀の思想活動で、ヒュームの最後の代表作「イングランド史」、アダム・スミスに影響を与えたといわれるハチスンの「道徳哲学の体系」、ファーガスン「ローマ共和国史」などの著作を含む。

イングランド啓蒙関係(106冊)

ヨーロッパ啓蒙思想・啓蒙時代の幕を開いたイングランドの著作コレクション。「知識は力なり」という名言で知られるベーコンや、イギリス経験論の父と呼ばれるロック、「ロビンソン・クルーソー」で有名なデフォーなどの著作が含まれる。

The Scots Magazine(97冊)

「マガジーン」という単語が雑誌の意味に使われた初期の文献。
スコットランドにおける最初の総合文化雑誌。

蔵書の一部紹介

ヒューム『イングランド史』

『イングランド史』
6巻本初版 1762年 ロンドン刊
[Samuel Johnsonの友人John Cator 旧蔵書]


HUME, David. The History of England, from the Invasion of Julius Caesar to the Revolution in 1688. In six volumes. London,A. Millar, 1762.
FIRST COLLECTED EDITION. 6 vols. 4to. viii, 424 p.; viii, 446 p.; [iii]-vi, 402p.; iv, [403]-739 p.; vi, 473 p.; vi, 452, [92] p. Uniformly bound in contemporarypolished calf, spines gilt with morocco labels. (Jessop, p. 27).

ヒューム最後の代表作『イングランド史:ジュリアス・シーザーの侵入から1688年革命まで』は、1752年弁護士協会図書館の館長に就任し、その3万冊の蔵書を利用して書き始められました。まず1603年のジェームズ1世の登場から1688年までの17世紀テューダー朝の歴史について書かれ、1757年迄に2巻の『グレート・ブリテン史』として出版されました。 執筆は時代をさかのぼり、テューダー朝全体の歴史を2巻本として出版したのが1759年、最後に一番古い時代のジュリアス・シーザーの侵入からヘンリー7世まで、テューダー朝成立までの歴史をやはり2巻本として出版したのが1762年で、これでジュリアス・シーザーの侵入から名誉革命までの歴史が全部書かれました。そして最後の2冊が出た1762年、改めて全6巻の『イングランド史』として刊行されました。 最初の2冊が『グレート・ブリテン史』と呼ばれたのに対し、その後時代をさかのぼりだしてからは、イングランドの歴史が中心になったので、1762年全6巻が揃った段階ですべて『イングランド史』の題名に統一されました。本書は、その貴重な6巻本の完全揃いであります。 旧蔵者のJohn Catorは、富裕なクウェーカー教徒の材木商人でサミュエル・ジョンスンの友人でもあり、蔵書構成に際してジョンスンの助言を受けました。本書の出所は、ヒュームの特に宗教論に対して侮蔑的であったといわれるジョンスンの友人の蔵書であったことが特に興味深いものとされています。

ファーガスン『ローマ共和国史』

『ローマ共和国史』
初版 全3巻 1783年
ロンドン/エディンバラ刊


 

FERGUSON, Adam. The History of the Progress and Termination of the Roman Republic. London, W. Strahan and T. Cadell/Edinburgh, W. Creech, 1783. FIRST EDITION. 3 vols. 4to. [xii], 461 p.; [viii], 548 p.; [viii], 576 p. Contemporary lightly speckled calf, red and green morocco labels, joints cracked and tender, especially on volume 1. (Jessop, p. 122).

『市民社会史論』の重要テーマであった繁栄と衰退の好例としてローマ史が取り上げられます。 ファーガスンは、「ローマを良く知ることが人間を知ること」と語り、彼のローマ史は人間論であるとともに教訓史であることがわかります。 とくに共和政から帝政への革命、その移行期での人々の姿が教訓となるというものです。 本書はモンテスキューの強い影響を受けていたファーガスンが、その『ローマ人盛衰原因論』に着想を得て書かれた大著で、19世紀前半、主としてアメリカでローマ史の標準テキストとして大いに利用されたことが伝えられています。

ハチスン『道徳哲学の体系』

『道徳哲学の体系』
初版 全2巻 1755年 グラスゴウ刊


 

HUTCHESON, Francis. A System of Moral Philosophy, in Three Books; written by the late Francis Hutcheson…published from the original manuscript, by his son Francis Hutcheson, M.D. To which is prefixed some account of the life, writings, and character of the author, by the Rev. Wm. Leechman. Glasgow: Printed and sold by R.and A. Foulis…London: Sold by A. Millar, 1755.

FIRST EDITION. 2 vols. 4to. [xii], xlviii, 358 p.; [iv], 380 p. Contemporary full calf, spines gilt with raised bands, scratched, corners somewhat worn & chipped. (Goldsmiths 11804).

1730年以来からグラスゴウ大学道徳哲学教授として行った講義をもとに、1733―35年に執筆され、1737年には完成していたと推定される原稿に、同僚でグラスゴー大学神学教授リーチマン(William Leechman, 1706―85)による著者の伝記を添えて、 著者の没後の1755年に同名の子息が出版した最も体系的な著述とされます。狭義の道徳論だけでなく、社会・法律・経済・政治など当時の広い意味での道徳哲学の諸問題を取り扱い、アダム・スミスに影響を与えたといわれます。

ロック『寛容に関する書簡集』

『寛容に関する書簡集』
完全収録初版 [ホリス版]
1765年 ロンドン刊


 

LOCKE, John. Letters concerning Toleration. [Includes a reprint of the Epistola de Torerantia and all four letters on torelation. Edited by Thomas Hollis and Richard Baron]. London, A. Millar…, 1765.

FIRST COLLECTED EDITION. 4to. [viii], 399 p. Contemporary calf with gilt tooled border, rebacked, gilt decorated spine with morocco label.

ロックの『寛容に関する書簡』は、国教会とピューリタンとの間の宗教的寛容についての論争を締めくくるほどの重要な意義をもち、名誉革命後の「寛容令」に具体化され、近代民主主義における信仰の自由の基本原則を確立した。この書簡には5種類ある。即ち、1667年頃に書かれ、オランダで1689年ラテン語で出た『寛容に関する書簡』 Epistola de Torerantia、同年の英語訳A Letter concerning Torelation, 1690年の『第2書簡』A Second Letter concerning Torelation, 1692年の『第3書簡』A Third Letter concerning Torelation, 1704年死の年の未完の『第4書簡』A Letter concerning Torelation があり、本書はこれらのすべてを含む。

デフォー『イングランドとスコットランドの合邦史』

『イングランドとスコットランドの合邦史』
1786年 ロンドン刊


 

DEFOE, Daniel, 1661?-1731. The History of the Union between England and Scotland. London, John Stockdale, 1786.

4to. xxxii, [ii], 781, [3] p. Contemporary calf, later vellum spine with green morocco label (chipped), calf chafed at edges, vellum spine slightly soiled. (Goldsmiths 13133, Kress B.1041).

18世紀ジャーナリズムの幕開けとなった『レヴュー』誌(1704-13)で、イングランドとスコットランドの合邦を支持する論陣を張ったデフォーのオリジナル文書からの出版で、スイス出身の文筆家で『イギリス憲政論』の著者ドゥ・ロルム John Lewis De Lolme (1740?-1807)が95頁もの序文を書き、これも著名な伝記作家チャーマーズ(George Chalmers, 1742-1815)によるデフォーの伝記も含まれている。