家族
虐待、殺人、孤独死、暴力など、家族内部の問題が報道されることが日常的になっている中、平成19年の『国民生活白書』を見る限り、「あなたにとって一番大切なものは何か」と問われた時、「家族」と答える人の数は、年々増加していて、「生命・健康・自分」や「金・財産」と答える人の数よりも圧倒的に多いのです。
なぜ、人は、最も家族を大切と考え、一方で「無縁社会」と呼ばれるような社会を形成しているのでしょうか。個人は、過去と比べて思いやりを忘れた人間になってしまったのでしょうか。あるいは、個人の問題ではなく、社会や制度、システムの問題なのでしょうか。また、そもそも、私たちの言う「家族」とは一体何を指しているのでしょうか。お父さん、お母さんと子供なのでしょうか。しかし、現在、諸外国では、同性の結婚やパートナーシップが認められているところがたくさんあります。従来の「家族」概念では収まりきらない「親密関係」について考えていきたいと思っています。
→ 『現代人の社会とこころ』 第7章、『日仏社会学叢書第3巻 ブルデュー社会学への挑戦』 第2章をご覧ください。