目的
医療組織において看護師が過労状況に陥っているということから、その職能を十分に発揮できていない阻害要因を見出すにあたり、これまで論じられてきた労働条件などとは異なる点にも目を向けたいと思います。看護師が過労せざるを得ない状況というのは、看護サービスの質が看護師個人の努力に依存していると考えられますが、それがなぜ可能なのかについての考察です。本調査では、看取りの中心的担い手である看護師の働き方の要件(公立病院・私立の別、専門病院・総合の別など)と属性の要件(年齢層、キャリア、専門性、都市部・地方の別など)などを加味したアンケート調査を行います。
また、日本の状況をより客観的に見ていくために、フランスとの比較調査を行います。フランスの医療の現状や制度についての資料収集、関係者からのインタビューも行いたいと思っています。
フランスを対象に調査を行う理由は、以下のとおりです。第一に、「看取り」が職業として成り立つ素地を作った臨床医学は、フランスのパリを中心に興ったものであること。第二に、現在、フランスも日本同様に、多くの人が「看取り」を必要とする高齢社会を迎えおり、地方の病院を中心にして、病院の統廃合が進んでいることなどが日本の状況と似ているからです。また、一方的な調査を行うのではなく、本ホームページ上に調査結果などを提示することによって、多方向的な情報交換ができる場を作っていきたいと考えて
います。